小児気管支喘息の急性発作における医療機関での治療

『小児気管支喘息の薬物療法における適正使用ガイドライン』より

(2006.3厚生労働省医薬食品局安全対策課・平成17 年度研究)

】テオフィリン関連情報としての抜粋です。それ以外の情報についてはリンク先の原文を参照願います。

    小発作 中発作 大発作 呼吸不全
2歳未満 初期治療 β2 刺激薬吸入 β2 刺激薬吸入
(反復可)
酸素投与(Spo2<95%)
入院
β2 刺激薬吸入反復 
酸素投与輸液
ステロイド薬静注 
入院
イソプロテレノール持続吸入
酸素投与
輸液
ステロイド薬静注反復
追加治療 β2 刺激薬吸入反復 (基本的に入院)
ステロイド薬投与
(静注・経口)
輸液
アミノフェリン持続点滴(考慮)
イソプロテレノール持続吸入 
ステロイド薬静注反復
アミノフェリン持続点滴( 考慮) 
気管内挿管
人工呼吸管理
アミノフェリン持続点滴(考慮)
麻酔薬(考慮)
注釈 [アミノフェリン関連注釈を抜粋]
過剰投与にならないように注意。生後6 カ月未満、またはけいれん性疾患のある乳児への投与は原則として推奨されない。
発熱時の使用は適用の有無を慎重に考慮する。
本治療は小児喘息の治療に精通した医師のもとで行われることが望ましい。
2歳から15歳 初期治療 β2刺激薬吸入 β2 刺激薬吸入反復 
酸素吸入(Spo2<95%で考慮)
入院
β2 刺激薬吸入反復
ステロイド薬静注 アミノフェリン持続点滴
入院
イソプロテレノール持続吸入
酸素吸入、輸液
ステロイド薬静注
アミノフェリン持続点滴
追加治療 β2 刺激薬吸入 ステロイド薬投与
( 静注、経口)and/or アミノフェリン点滴静注・持続点滴)
上記治療に対する反応を観察し、反応不十分な場合は入院治療考慮
イソプロテレノール持続吸入 
ステロイド薬静注反復
イソプロテレノール吸入(イソプロテレ増量考慮)
アシドーシス補正
気管内挿管
人工呼吸管理
麻酔薬(考慮)
注釈 [アミノフェリン関連注釈を抜粋]
幼児ではアミノフェリン治療は小児喘息の治療に精通した医師のもとで行われることが望ましい。
アミノフェリン点滴静注:30 分以上かける。
アミノフェリン持続点滴:テオフィリン血中濃度;8〜15μg/mL
アミノフェリン点滴静注は使用量を適切に守る。しかし2~5 歳の幼児では発熱時の使用は注意する。

 アミノフェリンは、テオフィリンと化学構造等が類似の薬品です。テオフィリンの副作用を研究した論文でも、「テオフィリン製剤の内服」と「アミノフェリンの点滴静注」をあわせて、テオフィリン関連群として検討しています。(参考:テオフィリン製剤は小児喘息の治療にとって危険か/藤田医院)

 テオフィリン/アミノフェリンの副作用への考慮の上で策定された、2006年の厚生省の『小児気管支喘息の薬物療法における適正使用ガイドライン』においても、アミノフェリンが症状によっては、治療に必要な薬品として、挙げられていることがわかります。

 特に呼吸不全というのは、別ページで解説したとおり、体内の酸素が不足して、唇等が紫になる「チアノーゼ」が見られるほどの、重い発作です。 このようなときに、「必ず起こるわけではない」副作用を恐れるあまり、医師の投薬に反対したり、措置を遅らせるようなことがあると、文字どおり、命にかかわる可能性があることも、記憶の隅に留めていただきたいと思います。 TOPへ